税務最新情報
2021年08月10日号 (第405)
税務調査後の資料のやりとり
みなさん、こんにちは、オリンピックでは日本は過去最多の金メダル数ということで、参加されている選手の皆さんは頑張っているようですね。
さて、今回は、税務調査時においての、資料のやり取りについてご紹介していきます。
国税局で異なる取扱い
税務調査で会社に訪問した後に、追加で資料がほしいとの依頼がよくあります。
最近の環境から考えると、メールで添付という形が合理的と思われますが、税務署の職員の方と個人的なメールのやり取りをするという実務はありません。追加の資料が、要求されているような場合は、FAXや郵便でのやり取りでとなります。
ここで、興味深いのは東京国税局管内は、FAXで資料のやり取りを普通に行います。FAXで送ってくださいと言われますし、必要なマスキングをした上でFAXでの送信が日常的に行われています。一方で、埼玉県を管轄する関東信越国税局管内は、FAXでの資料のやり取りを行いません。理由を聞いても、そういう決まりだからということで、郵送でのやり取りになってしまいます。
FAXなら、送付して1時間後に結論が出ることもありますが、郵送だとどうしても、翌日以降の解決になってしまい、些細な内容についても、なかなかスムーズに進まないというジレンマがありました。
令和4年1月からe-Taxによる提出が可能
従来から、税務調査の後に修正申告や更正の請求は、e-Taxで提出可能でした。ところが、紙1枚の資料をやり取りする際には、FAXか郵送というのが現場の実務でした。
令和4年1月からは、調査資料の提出がe-Taxで行えるようになるとのことです。帳簿の他、領収書、請求書、契約書などの原始資料についてもPDF形式で、最大8Mバイトの容量まで送信できる予定です。実務的には、8Mバイトの容量があれば普通は一度に送信可能ですし、複数回に分割することで事実上の上限はないので、FAXや郵送に代わって、e-Taxでの送信がデフォルトになっていくかもしれません。特に、FAXでのやり取りを行っていなかった税務署管内では便利になります。
一方で、大量の資料を送付するような場合は、従来どおり郵送などの手段を利用せざるを得ないと思われます。また、PDFによる送信に限定される点も微妙さを感じます。例えば、会計システムや販売管理システム、給与システムから、テキストデータ、CSVなどで、データを取り出せるものを、敢えてPDFにするという点は、少し無駄があるような気がします。
いずれにしても、一歩前進です。郵送の手間が省けるだけでも良い方向だと感じます。
- 記事提供
-
- TIS税理士法人 税理士 飯田 聡一郎 ホームページ
- TEL: 03-5363-5958 / FAX: 03-5363-5449 / メールでのお問い合せ